[1]-[2]-[3]-[4]-[5]-[6]-[最終回]
教授の屋敷を出ると、丁度太陽が中天にさしかかる頃だった。ホームズは振り返り、屋敷の二階に並んでいる窓を見ていたが、そのうちこらえきれないように吹き出した。
「ホームズ、どうしたんだい?」
「…いや。さぞや大変だったろうなと思ってさ。」
私は、彼の不誠実さに怒りを覚えた。親切な教授が眼鏡や手帳を無くした事を、何も笑うことは無いのではないか?。私が問い詰めようとすると、彼はひらりと身を返し、来た時同様、大またで建物の裏手に向かって歩き出した。
私はあわてて彼の後を追った。

「ホームズ、いったい君は…」
「ワトソン君、君は本当に解らないのかい?。もしかして両方とも?」
ホームズは歩きながら、じれったそうに問いかけた。私は自分がとても馬鹿者になった気分になった。ホームズの言った意味が、全く理解出来なかったのだ。仕方なく、小声で問いかけた。
「両方って何だい?」
続きを読む
教授の屋敷を出ると、丁度太陽が中天にさしかかる頃だった。ホームズは振り返り、屋敷の二階に並んでいる窓を見ていたが、そのうちこらえきれないように吹き出した。
「ホームズ、どうしたんだい?」
「…いや。さぞや大変だったろうなと思ってさ。」
私は、彼の不誠実さに怒りを覚えた。親切な教授が眼鏡や手帳を無くした事を、何も笑うことは無いのではないか?。私が問い詰めようとすると、彼はひらりと身を返し、来た時同様、大またで建物の裏手に向かって歩き出した。
私はあわてて彼の後を追った。

「ホームズ、いったい君は…」
「ワトソン君、君は本当に解らないのかい?。もしかして両方とも?」
ホームズは歩きながら、じれったそうに問いかけた。私は自分がとても馬鹿者になった気分になった。ホームズの言った意味が、全く理解出来なかったのだ。仕方なく、小声で問いかけた。
「両方って何だい?」