[1]-[2]-[3]-[4]-[5]-[6]-[最終回]
ホームズは立ち上がると、マントルピースの上に置いた煙草入れをとりあげ、愛用のパイプに煙草を詰め始めた。
「スイフト氏が訪れた日の事を覚えているね?」
「うん。発端になったのは奇妙なカレンダー収集家の話だったね。」
「その前に、カレンダーの丸印は何かと君に尋ねたろう?ところが君は何のためにマークをしたのか、思い出せなかった。火曜日と金曜日の印はゴミの日だと即答したのにね。そのとき僕はこう思った。『習慣となっている物事は、カレンダーに書いていなくても憶えているけれど、その日だけの予定は忘れやすい』とね。…ところで、思い出したかい?何の日か。」
私はかぶりを振った。彼は向かいの席に戻り、紫煙を楽しみながら話し始めた。

「僕はカレンダーを見る習慣が無いから、君に言われてはじめて、あのカレンダーの行が、月曜日から始まっていることに気が付いた。あのカレンダーは全ての曜日を青みがかった灰色で印刷してある。もちろん、各列の一番上には曜日がちゃんと記されているけれども、もし、日曜日からはじまるカレンダーに慣れている者が見ると、ゴミの日は月曜日と木曜日だと勘違いするかもしれない。デザインは悪くないんだけれど、少し不親切だなと感じた。
そこにスイフト氏が登場したんだ。
続きを読む
ホームズは立ち上がると、マントルピースの上に置いた煙草入れをとりあげ、愛用のパイプに煙草を詰め始めた。
「スイフト氏が訪れた日の事を覚えているね?」
「うん。発端になったのは奇妙なカレンダー収集家の話だったね。」
「その前に、カレンダーの丸印は何かと君に尋ねたろう?ところが君は何のためにマークをしたのか、思い出せなかった。火曜日と金曜日の印はゴミの日だと即答したのにね。そのとき僕はこう思った。『習慣となっている物事は、カレンダーに書いていなくても憶えているけれど、その日だけの予定は忘れやすい』とね。…ところで、思い出したかい?何の日か。」
私はかぶりを振った。彼は向かいの席に戻り、紫煙を楽しみながら話し始めた。

「僕はカレンダーを見る習慣が無いから、君に言われてはじめて、あのカレンダーの行が、月曜日から始まっていることに気が付いた。あのカレンダーは全ての曜日を青みがかった灰色で印刷してある。もちろん、各列の一番上には曜日がちゃんと記されているけれども、もし、日曜日からはじまるカレンダーに慣れている者が見ると、ゴミの日は月曜日と木曜日だと勘違いするかもしれない。デザインは悪くないんだけれど、少し不親切だなと感じた。
そこにスイフト氏が登場したんだ。